品質

品質

方針・基本的な考え方

大成建設グループは、お客様や社会に対し、高品質の建設生産物・関連サービスを効率的かつ継続的に提供することを重要な使命と認識し、その使命を果たすため、品質に関するグループ行動指針に則った企業活動の実施により、お客様と社会の期待と信頼に応えることを目指しています。また【TAISEI VISION 2030】達成計画において、「適正な品質管理を徹底し、品質起因の不具合の撲滅と顧客満足度の向上を目指す」ことを基本方針としています。

リスクと機会

リスク
  • 品質不良・不具合発生による顧客の健康・安全の侵害や資産価値の毀損
  • 施工不良に伴う手直し工事によるコスト増加、損害賠償の発生
  • 熟練技術者の減少等に伴う要員不足により品質管理が不十分となるリスク
  • 上記に伴う競争力・ステークホルダーからの評価低下、受注機会の減少
機会
  • 顧客ニーズを満たす高品質な建造物を提供することによる信頼の醸成と受注機会の創出
  • 確実な品質管理の結果としての適正な利益の確保
  • 自動化やロボットの活用等の新たな技術開発やデジタル技術の活用促進による品質管理能力・生産性の向上
  • 上記に伴う競争優位性の確保、企業価値向上、ステークホルダーからの評価向上

ポリシー/コミットメント

  • グループ行動指針:お客様満足の追求、安全性・品質の確保と向上
  • 品質方針
  • 【TAISEI VISION 2030】達成計画 事業基盤の整備方針 品質

目標

【TAISEI VISION 2030】達成のための取り組み

基本方針:適正な品質管理を徹底し、品質起因の不具合の撲滅と顧客満足度の向上を目指す

  • 関係各部門の連携による品質管理プロセス逸脱の排除と品質管理モニタリング体制の確立
  • デジタル技術を活用した品質関連情報の共有
  • ISO9001外部審査・認証維持
  • 客先評価結果の有効活用
  • トラブル事例の収集・評価と社内水平展開

KPI

  • お客様満足度:2026年度 建築・土木100%、2030年度 建築・土木100%
  • 重大品質関連トラブル件数:2026年度0件、2030年度0件

イニシアチブ

  • ISO9001

体制・システム

品質管理体制

品質管理プロセスに則った適正な管理と品質管理モニタリング体制の確立

2023年度に発生した品質不良事案を踏まえ、役職員全員が“ TAISEI QUALITY~品質は私たちのプライド~”という原点に立ち返り、品質に関わる社内の部門間の連携を強化し、品質管理プロセスに則った適正な管理に努めています。土木工事においては、土木本部・支店・作業所が、建築工事においては、建築本部・品質管理本部・支店・支店品質専任者・作業所が連携し、品質管理プロセスの遵守及びその状況のモニタリング体制を確立しています。また、品質パトロールについては、リスクを防ぐ第三者の目(コールド・アイ・レビュー)を実施しており、万一、品質トラブルが発生した場合には、問題の拡大を防ぐために、本社及び支店が作業所を支援する仕組みを整えています。

※TAISEI QUALITY:
大成建設グループ全体の品質推進活動を、一言で表したスローガンです。当社グループの社員がプライドを持って、品質の確保に努めることで、お客様や社会から信頼を得ることを目指しています。

社長直轄の品質管理本部の設置

建築事業に関する品質管理体制を強化し、品質管理プロセスを徹底するため、2023年5月に社長直轄の品質管理本部を設置しました。同本部は、品質管理の統括や指導に特化して、施工時の品質プロセスをチェックし、お客様の要求や契約に合致した円滑な施工に繋げる役割を担っています。
具体的には、本社品質パトロール及び中間・完成検査において「建築業務標準」に則り品質管理プロセスの実施状況を第三者の視点で判断しています。品質管理プロセスに合致しない施工や現地での指摘事項に対しては、作業所長に期限を明確に定めて修正・是正を指示し、修正・是正がなされていない場合は、支店に工事停止を命じて確実に実施します。
更に、支店技術部・室の業務内容について定期的に審査を行い、品質管理プロセスの有効性維持について支援・指導をするとともに、作業所及び支店品質管理専任者に対する支援・指導も行っています。

建築事業の品質管理体制
建築事業の品質管理体制

トラブル事例の収集・評価と社内水平展開

作業所で発生した品質に関するトラブル情報は、支店を通じて速やかに本部に収集され、事象・原因による重大性の評価を行っています。本社では、対応策・再発防止策について確認を行った上で、全支店に水平展開することにより、同様の品質トラブルの防止に繋げています。

ISO外部審査・認証

大成建設の各部門やグループ会社ごとに、品質マネジメントの国際標準規格であるISO9001認証を取得しており、継続的に第三者機関による審査を受審し、認証を維持しています。また、環境マネジメントシステムの国際規格ISO14001や、安全かつ健康に働くことができる職場環境を提供するために、土木部門でISO45001を取得しています。

各部門の品質方針

建築部門

ISO9001・2015年版の改定を機に、品質管理マニュアルに相当するものと位置付けた『建設業務標準』に沿った業務フローを実施することによる品質管理を推進しています。
部門の品質方針において、『顧客や社会の要求に合致した「高品質の建設生産物・関連サービス」を継続的に提供し、顧客の満足と信頼を得る』ことと定め、お客様とのより良い関係づくりに注力しています。

土木部門

お客様のニーズに基づき優れた品質の土木構造物を提供するため、総合建設業としての知恵と組織力を結集し、工事関係者全員の誠実かつ迅速な協働により、お客様に満足していただける品質とサービスを追求しています。
更なる「お客様満足の向上」のため、品質マネジメントシステムについても有効性を継続的に改善し、より効果的な運用を目指します。

エンジニアリング部門

大成建設のエンジニアリング部門は、日本の総合建設会社として初めて1968年に設立され、50年を超える業界随一の歴史と実績を誇ります。また、1996年に社内で最初にISO9001の認証を得るなど、長年にわたり品質活動に取り組み、顧客ニーズの実現と多くの信頼を築いてきました。2020年には、建築部門、設計部門等と同じ認証機関へ移転し、企画・計画から設計・施工まで一貫して対応する部門として更に躍進を続けます。
顧客満足の実現に向け、当社の品質方針のもと、「拡大するエンジニアリング事業領域において次世代の先進的なサービスを通じて『TAISEI QUALITY』を提供する」を部門の品質方針として掲げ、具体的な行動指針を下記に定め品質活動に取り組んでいます。

  1. 顧客要求事項を的確に捉え解決する
  2. 先進的なサービスを提供できる人財を育成する
  3. 法令・規制などを遵守する
  4. 品質マネジメントシステムを適切に運用し、継続的に維持・管理する
設計部門

ISO9001認証を設計本部と支店設計部(8支店)一体で取得し、全国どの部署においても高い設計品質を確保する仕組みを運用しています。また、2016年に大成建設工事監理一級建築士事務所を開設し、独立した権限をもって工事監理を行っています。
設計部門は2002年6月に建設業界で世界初の情報セキュリティマネジメントシステム認証(当時BS7799、現在ISO27001)を取得しており、品質、環境、情報セキュリティのISOの活動を通じて総合的に品質向上に取り組んでいます。

原子力部門

当社の品質方針のもとに、原子力関連施設の設計、調査・研究開発、実証試験及び技術支援を通じて、お客様満足の向上を図るとともに、原子力関連施設の安全性、信頼性及び環境保全に資することを品質方針としています。
必要に応じて「原子力安全のためのマネジメントシステム規程JEAC4111」[(一社)日本電気協会]、「原子力施設における許認可申請等に係る解析業務の品質向上ガイドライン」[(一社)原子力安全推進協会]、「原子力施設のための品質保証要求事項NQA-1」[ASME:米国機械学会]等にも対応し、電力会社をはじめとするお客様個別の品質保証要求に対応しています。

取り組み

鉄骨アカデミーの本格運用

鉄骨工事の確実な品質管理に繋げるため、2024年度に鉄骨工事について学ぶ「鉄骨アカデミー」を開設し、グループ会社を含めた、鉄骨工事の経験の浅い社員や派遣社員に対し、教育を実施しています。
座学に加え、大成建設PC(プレストレストコンクリート)工場に設置したモックアップを見て“現物を確認”しながら、3日間のカリキュラムで鉄骨工事のポイントを徹底的に学ぶ内容となっています。2024年度は2025年2月現在で22回開催し、多くの社員のスキルアップを図っています。

技術相談窓口による作業所の品質管理サポート

建築工事に関する作業所からの技術的な相談に対応する窓口として、2024年4月に技術相談窓口を開設しています。
「どのような技術的な検討をしておくべきか」、「この材料の注意ポイントが知りたい」などの質問を建築本部技術部がメールで受け付け、適切なアドバイスをすることにより、作業所における品質管理をサポートしていきます。

デジタルデータによる品質管理業務の高度化

【TAISEI VISION 2030】達成計画の「事業変革の進め方:DX」において、生産プロセスの重点テーマとして「IoT活用による出来形・品質管理データの自動取得・保管」、「デジタルツインによるマネジメントの高度化(作業所状況の可視化)」等を掲げており、デジタル技術とデータの活用を推進しています。
また、作業所の社員と協力会社等が、図面や品質管理・工程管理等の施工データを共有するため、品質記録データベースの整備を強化しています。クラウドサービスを利用したシステムにより、品質パトロールの実施状況をはじめとする様々な品質管理に関する情報を見える化し、品質管理活動の実効性を高めています。

お客様満足度調査

大成建設では、建物の設計・施工段階において、お客様の想いを丁寧にヒアリングし、明確なコンセプトと充実したプランの提供に努めており、引渡し後には、お客様満足度調査を行っています。
調査結果は以下の通りで、結果についてはマネジメントレビューを実施し、社内で水平展開するほか、お客様のご要望を設計や品質の向上、アフターサービス等に反映しています。

  • 建築部門

アンケート形式で実施しており、出来栄えや使い勝手・施工中の作業所運営の評価など、5段階評価となっています。2023年度の満足度は、82.8%となりました。評価の低い項目については、要因を分析し、対策を立て工事反省会等で共有し、改善に努め、お客様とのより良い関係づくりに注力しています。

  • 土木部門

発注者の工事評定点を基に算出しており、2023年度の満足度は、98.6%となりました。これに加えてCSインタビューも実施しており、各支店は工事反省会の場で結果を共有し、改善に努めるとともに本社・支店が一体になり、更なるお客様満足度向上を目指していきます。

従業員への品質意識向上への取り組み

マイスター制度・教育サポーター制度
  • 建築部門

2009年より「マイスター制度」・「本部員コーチング制度」では、大成建設グループ全体の品質推進活動「TAISEI QUALITY」活動の一環として、大成建設の技術やノウハウを確実に伝承するために、技術習得や専門知識習得を推進しています。生産能力の向上と施工管理体制の強化を図っているため、マイスターに選任された社員や、作業所経験豊富な建築本部の幹部社員が、実際に現場に出向き、若手及び中堅社員に密着し、OJTを通じて技術力、品質管理力、現場運営力などの教育・指導を行っています。

  • 土木部門

2009年より「教育サポーター制度」を導入しており、作業所長経験者の中から選任された教育サポーターが若手社員のOJT教育状況を確認し、支援・指導しています。生産能力と体制を強化するために、「労務環境の整備」や「人財確保」に加え、社員のマネジメント能力の強化を図っているため、具体的には、「社員の現場力向上」を目標に掲げ、工程管理能力、設計力、積算力、交渉力、実行力などの能力を高めるための「OJT教育」を導入・運用しています。

従業員向け技術探索システムと教育サイトの解説

AIを用いた技術探索システムや、動画を使ったオンデマンドの教育サイトを開設し、全従業員に品質意識を向上させる取り組みを開始しました。各種社内教材やプレス発表/社内外のプレゼンテーションなど、さまざまな場面で、映像を効率的に活用した教育サイトにより、従業員への品質意識向上に役立てています。

サステナビリティ

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