価値創造と持続的成長に向けて

大成建設グループの価値創造ストーリー

大成建設グループは、グループ理念「人がいきいきとする環境を創造する」のもと、人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに取り組んでいます。
事業活動を通じて良質な社会資本をつくり出し、お客様と社会の課題解決に貢献することにより、企業価値と社会価値の向上の循環を実現し、社会とともに持続的に成長することを目指しています。

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中長期的に目指す姿 【TAISEI VISION 2030】

2021年に、グループ理念及び大成スピリットに基づいて、中長期的に目指す姿【TAISEI VISION 2030】を策定しました。目指す姿の策定にあたっては、中長期の外部環境・構造変化を3つのX(IX:インダストリー・トランスフォーメーション、SX:サステナビリティ・トランスフォーメーション、DX:デジタル・トランスフォーメーション)として特定し、これらが絡み合いながら変革の大きなうねりになると想定しました。
目指す姿を達成するために注力する5つの分野(Construction:建設、Development:開発、Engineering:エンジニアリング、Energy:エネルギー、Environment:環境)を特定し、「進化し続けるThe CDE3カンパニー」と表し、2030年度における業績数値イメージを、グループ純利益1,500億円程度、ROE10%程度、グループ売上高の想定2.5兆円程度と設定するとともに、ステークホルダーへの還元に関する目標も定めています。
2024年5月には、目指す姿の実現に向けた第1フェーズであった中期経営計画(2021-2023)の総括及び中長期の外部環境・構造変化の現状を踏まえて、【TAISEI VISION 2030】を一部修正し、利益重視の姿勢を明確にしました。そして、今後7年間で取り組む重点課題と施策をまとめた【TAISEI VISION 2030】達成計画を定め、そこからバックキャストして、マイルストーンとなる当面の3年間の目標・施策を「中期経営計画(2024-2026)」に整理し、目指す姿の実現に向けた取り組みを進めています。

マテリアリティとKPI

【TAISEI VISION 2030】達成計画及び中期経営計画(2024-2026)の策定に合わせて、マテリアリティを「事業活動を行うにあたっての基本姿勢」として理念体系における位置づけを見直すとともに、最新のサステナビリティ課題を踏まえ、「環境・社会(ステークホルダー)が企業活動・企業財務に及ぼす影響(リスクと機会)」と「企業活動が環境・社会に及ぼす影響(リスクと機会)」の2つの側面から検討の上、2024年5月に見直し、以下の5つとしました。

  • 1豊かな暮らしを実現する新たな価値の共創
  • 2持続可能な環境配慮型社会の実現
  • 3一人ひとりがいきいきと活躍できる社会・職場環境の実現
  • 4ものづくりへの矜持  ~安全・品質・技術~
  • 5信頼を支える公正な企業活動  ~コンプライアンス・ガバナンス~

それぞれのマテリアリティについて、【TAISEI VISION 2030】達成計画及び中期経営計画(2024-2026)においてKPI(重要業績評価指標)を定め、事業戦略と一体化して取り組みを進めています。
経営数値目標及びKPIについては、定期的に経営会議で確認・審議のうえ、取締役会において進捗状況及び達成度のモニタリングを行い、達成に向けて必要な対策を実施しています。

企業価値向上に向けたビジネスモデル

当社グループの競争力は、これまでに培ってきた人財・技術・財務を強みとした「建設バリューチェーンのあらゆる局面においてお客様と社会の課題を解決する力」であると認識しています。
当社グループのビジネスの中核となる建設事業については、中長期の国内マーケットは、ポストコロナの経済回復、物価上昇の見通しなどを反映して、需要側からみた建設投資は堅調な増加を辿り、当面は70兆円を超えるレベルで推移すると想定しています。一方で、少子高齢化による担い手の減少により供給側の厳しさは続くため、需給ギャップの拡大による建設物価の持続的な上昇圧力が懸念材料となります。
2024年5月にとりまとめた【TAISEI VISION 2030】達成計画の中長期事業戦略において、CDE3のうち、建設・開発・エンジニアリングについて、5つの事業セグメント(グループ国内建築事業、グループ国内土木事業、グループ国内開発事業、グループ海外事業、グループエンジニアリング事業)毎にリスクと機会、当社グループの強みを分析した上で、2030年に目指す姿と達成ストーリーを整理し、その実現に向けた取り組みを強化しています。
更に、建設を起点とした市場開拓及び川上・川下領域拡大を図り、事業の多様化による収益基盤の安定化を目指す「新たなビジネスモデル」を掲げており、「地域連携戦略」及び「O&M事業」等の取り組みを進めています。また、中長期事業戦略を実行していくために必要な共通の事業変革の取り組みとして、「DX」、「M&A」、「新規事業創出支援プログラム」に関する方針及び施策を「事業変革の進め方」として整理しています。
環境とエネルギーについては、【TAISEI VISION 2030】達成計画における「事業基盤の整備方針」の一つとして「サステナビリティ戦略(環境・エネルギー分野)」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」毎に2030年の目標達成に向けた重点施策を定め、お客様と社会の課題解決に貢献するための取り組みを進めています。

競争優位の源泉となる無形資産

当社グループの競争優位を確保するための無形資産のうち、最も重要なものは「人財」と「技術」です。
「人財」については、【TAISEI VISION 2030】達成計画における経営の基本方針に「人的資本」を定め、「人財の採用・育成及び能力を最大限に発揮できる環境を整備」することとしています。
当社グループの持続的成長を支えるための人的資本投資を拡充するとともに、従業員のエンゲージメント向上、身体的・精神的・社会的な健康と幸福感(ウェルビーイング)、多様なキャリアパスの実現を図っていきます。
「技術」については、【TAISEI VISION 2030】達成計画における経営の基本方針に、「技術開発」を定め、「取り組むべき技術領域を4つの領域(社会・環境問題、社会基盤強化、地方創生、フロンティア対応)に特定」し、時間軸や目標とする成果リターンを明確にして、技術開発を推進しています。中期経営計画(2024-2026)においては、技術開発・DX投資として3年間で1,250億円を実施することとしています。

ステークホルダーとの関係

当社グループは、ESGやSDGsの考え方を踏まえ、社員・家族、お客様、協力会社・取引先、地域社会・NPO・NGO・地球環境、株主・投資家、その他様々なステークホルダーに支えられていることを十分に認識した上で、自らが担う社会的な責任を果たし、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めることをステークホルダーに対する基本的な考え方としています。
特に、専門工事業者・サプライヤーなどの取引先については、お客様の期待と想像を超える仕事を成し遂げるための大切なパートナーであり、事業を通じて環境・人権などの社会課題を解決しながら共存共栄していく仲間であると考えています。
環境及び人権のデュー・ディリジェンスにより、サプライチェーン全体のリスク及び事業に伴う負の影響の防止・軽減に努めています。
また、大規模な災害や事故等が発生した場合に、社会経済活動の基盤を支える総合建設会社としての責務を果たすため、災害時における事業継続計画を定め、大規模災害対策訓練を毎年実施しています。この訓練には取引先も参加しており、災害リスクに連携して対応する体制を整えています。

リスクと機会

当社グループの5つの事業セグメントに関するリスクと機会については、各事業の2030年に目指す姿の達成ストーリーに反映して、実現に向けた取り組みを強化しています。
また、環境や人権などサステナビリティに関する機会とリスクについては、課題毎に分析した上で、【TAISEI VISION 2030】達成計画において、各課題に対する施策を「経営の基本方針」、「事業基盤の整備方針」等において定め、リスクを予防・低減しながら事業機会を捉え、持続的な成長と企業価値の向上につなげるべく取り組みを進めています。
なお、当社グループは、リスクマネジメント方針・リスクマネジメント基本規程のもと、ESGに関するリスクへ対応する全社的に体系化されたリスクマネジメントシステムを整備しており、有価証券報告書の「事業等のリスク」において開示しています。

取り組みを支えるガバナンス体制

当社グループは、企業としての持続的な発展を図り社会からの信頼を獲得するため、経営における意思決定の迅速性、適格性、公正性及び透明性を確保することをコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としています。
当社は、監査役会設置会社を選択しています。取締役会は、社内取締役7名、社外取締役5名の12名で構成しており、社外取締役は、自らの知見に基づいた客観的な視点に立ち、取締役会における審議に多様性をもたらすとともに、経営に対する監督機能の強化に貢献しています。
また、執行サイドの最上位決議機関として経営会議を設置しており、取締役会から権限移譲された業務執行案件について審議・決議を行っています。社長を議長とし、取締役会が選任する委員11名で構成しています。
取締役会においては、毎年、その実効性について分析・評価を実施して改善を図り、長期的かつ持続的に企業価値を高めるためのガバナンスの高度化につなげています。

投資家との対話・エンゲージメント

持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るために、株主・投資家との建設的な対話を推進するとともに、その前提となる適時適切な情報開示、及び価値創造ストーリーの全体像と各構成要素に関する明確な説明に努めています。
情報開示については、「情報開示方針」及び「コーポレートガバナンス基本方針」に基づき、法令及び証券取引所の規則に沿った開示を適切に実施しています。また、必要に応じて、Webサイトや統合レポート等において当社グループの事業活動等に関する最新の情報をステークホルダーの皆様にタイムリーに、わかりやすく提供するよう努めています。
株主・投資家との対話については、「IR方針」に基づき、面談、IR説明会、株主総会等を通じて建設的な対話の促進を図っています。対応者については、投資家の要望を踏まえ、必要と認められる場合、経営陣のほか社外取締役・監査役も対話に臨むこととしています。2024年度は、国内主要機関投資家と社長及び財務責任者とのスモールミーティングを開催しました。
近年の対話においていただいたご意見・ご要望を受け、以下の内容を実施しています。

  • 政策保有株式の縮減に関する数値目標について、当初2023年5月に公表した「2026年度末までに連結純資産額の30%未満、2030年度末までに20%未満」とする縮減目標について、縮減に向けた取り組みをさらに加速させるべく目標を前倒しし、「2026年度末までに20%未満とすることを目指す」こととしました。なお、2023年度は、上場銘柄のうち57銘柄(497億円)、非上場銘柄のうち6銘柄(2億円)を売却しています(一部売却を含む)。
  • 【TAISEI VISION 2030】達成計画の財務政策において、①ROE10%程度の確保と最適資本構成の追求、②投資基準と資金配分政策に基づく成長投資の実施を方針として策定し、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」として開示しています。

これらの進捗状況については、対話を通じて株主・投資家へ説明するとともに、コーポレート・ガバナンス報告書や有価証券報告書等により開示していきます。

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