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※このページは、大成建設グループ統合レポート2024に掲載された内容です。
CSuO副社長執行役員
サステナビリティ総本部長 兼
クリーンエネルギー・環境事業推進本部長
谷山二朗
これまでの取り組みと現状認識
当社グループは、事業を通じてお客様と社会のサステナビリティ課題解決に貢献することを基本的なスタンスとしており、中長期的に目指す姿として、【TAISEI VISION 2030】に「人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ」を掲げています。
目指す姿の実現に向けてサステナビリティ関連の施策を推進するために、2022年4月にサステナビリティ総本部を新設し、様々な取り組みを進めてきました。(表1参照)
また、非財務情報の開示の充実に力を入れており、CDP気候変動において2年連続で最高評価を獲得し、FTSE RussellのESGスコアを改善する等、着実に成果を挙げています。(表2、表3参照)
一方で、社会は物凄いスピードで変化しており、ますます複雑化し不確実性が高まっています。サステナビリティについては、脱炭素に加え、循環経済、自然共生、貧困・人権等、多様な課題の重要性が広く認識され、企業に対してサステナビリティ課題の解決に貢献することが強く求められるようになってきています。SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)を実現するための価値創造ストーリーの構想力と実行力の重要性が高まっており、今後は、その優劣が企業の持続可能性を決すると考えています。
目指す姿の実現に向けて
このような外部環境の変化を踏まえ、本年5月に開示した【TAISEI VISION 2030】達成計画において、事業活動の基盤となるサステナビリティ戦略(環境・エネルギー、人権)を策定しました。私が先頭に立ち、グループ全体で目指す姿の実現に向けた取り組みを加速させていきます。
カーボンニュートラルについては、SBT*1.5℃目標に沿った2030年目標達成に向け、スコープ1・2及びスコープ3のCO2排出量削減が重要になります。具体的には、スコープ1・2については、全役職員による環境負荷低減活動TSA:TAISEI Sustainable Action®と自社グループの電力使用量を賄う再生可能エネルギー電源保有、スコープ3上流については、環境配慮コンクリートをはじめとする低・脱炭素建材の開発、木質化建築の普及、スコープ3下流については、新築ZEBとリニューアルZEBの進化・普及に注力しています。特に、スコープ3については、技術開発とその実装化がポイントとなりますので、社内外との連携を深めて取り組んでいきます。
さらに、建物のライフサイクル全体でCO2排出を実質ゼロとするグループ次世代研究所研究管理棟を建設中であり、「ゼロカーボンビル」の実現に向け実証を進めています。
サーキュラーエコノミーについては、メーカーや物流会社と協働して資源循環に取り組んでいます。ネイチャーポジティブについても、有識者の指導の下で進めている建設事業が自然資本に与える影響の定量的評価手法の開発、地方自治体・NGO・他企業と連携した森林保全活動等、志をともにするパートナーと協力しながら取り組みを実施しています。
人権尊重については、当社グループの事業に携わる一人ひとりの人権を尊重することを基本方針として、ステークホルダーとの対話を大切にしながら、サプライチェーン全体で人権デュー・ディリジェンスの取り組みの深化に努めています。
加えて、サステナビリティ開示基準に関する動向にも注視しています。将来義務化されるであろう有価証券報告書における財務情報との同時開示に向け、情報収集に努めるとともに、CO2排出量の集計方法を再検討する等、今のうちから準備を進めていきます。
【TAISEI VISION 2030】達成計画のうち、新たなビジネスモデルの一つである「地域連携戦略」についても当総本部が推進役となっています。環境・社会に関する地域課題の解決を起点に地方自治体等とのネットワークを構築し、受注優位性を高めるとともに事業創出を目指していきます。
- *Science Based Targets:パリ協定への貢献(産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑える)を企業に求める国際イニシアチブ
グループ理念とCSuOとしての使命
当社は、1990年に「人がいきいきとする環境を創造する」という理念を掲げ、「人」と「環境」を大切にしながら世の中に価値を提供してきました。これはまさに、サステナビリティ経営の基本であるCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の実践であり、私たちは、これからも、この考え方を大切にしながら事業に取り組んでいきます。
CSuOである私の使命は、グループ理念と【TAISEI VISION 2030】のもと、当社グループのサステナビリティに関する取り組みを牽引し、事業を通じてお客様と社会のサステナビリティ課題を解決する力を高めていくことです。“これからの、「地図に残る仕事。®」”をサステナビリティの側面から全力で支えてまいります。
複雑で不確実性が高いこれからの時代において、目指す姿を実現するためには、ステークホルダーの皆様との建設的・実質的な対話を経営に活かして、当社グループのサステナビリティに関する取り組みを高度化していくことが必要です。
ステークホルダーの皆様におかれましては、当社グループの目指す姿の実現に向けた取り組みをご理解いただくとともに、忌憚のないご意見、ご指摘を賜りますようお願い申し上げます。