コンプライアンス
方針・基本的な考え方
大成建設グループは、組織としての行動の基本原則及び役職員等が積極的に実践すべきまたは厳守すべき行動・判断の基準として「グループ行動指針」を定めています。この行動指針は、当社グループのコンプライアンス遵守の規範であり、「業務の適正を確保するための体制の整備に関する基本方針」において、「取締役は、コンプライアンスの確立が経営の根幹であることを深く自覚し、グループ行動指針をはじめとするコンプライアンスに関する諸規程を率先して誠実に遵守する」ことを定め、国内外を含めたグループ全社に適用しています。
(2024年1月現在)
グループ行動指針(抜粋)
第1章 自由闊達
- 1.風通しの良い企業風土の形成
- 2.働きやすい職場の確保
- 3.基本的人権・多様性の尊重
第2章 価値創造
- 4.人がいきいきとする環境の創造
- 5.価値創造への挑戦
- 6.お客様満足の追求
- 7.安全性・品質の確保と向上
- 8.伝統の継承と尊重
- 9.取引業者とのパートナーシップの推進
- 10.環境の保全と創造への取り組み
- 11.地域社会とのコミュニケーション
- 12.グローバルな事業活動の取り組み
- 13.適切な情報開示
- 14.社会的責任の遂行
(1)社会との共栄
(2)法令等の遵守
(3)公正な取引の確保
(4)政治および行政との健全な関係の維持
(5)利益相反行為等の禁止
(6)反社会的勢力・団体への対処
(7)輸出入関連法令の遵守
(8)情報・知的財産権の管理
第3章 伝統進化
ポリシー/コミットメント
- グループ行動指針:法令等の遵守、情報・知的財産権の管理
- 業務の適正を確保するための体制の整備に関する基本方針
- 個人情報の保護に関する方針
- ソーシャルメディアの利用に関する行動基準
- グループ運営に関する基本方針
目標
KPI
- 重大なコンプライアンス違反件数
2026年0件、2030年0件 - 重大なセキュリティ事故件数
2026年0件、2030年0件
イニシアチブ
- 国連グローバル・コンパクト「腐敗防止」
体制・システム
コンプライアンス推進体制
部門ごとに責任者・推進者・実施者を配置し、社内のコンプライアンス推進体制を整備するとともに、社長の諮問に答える特別な委員会として、社外有識者(弁護士)を委員長とするコンプライアンス委員会を設置しています。
法令等違反行為に対する役職員の懲戒等の厳正化・独占禁止法遵守のための体制整備等、コンプライアンス委員会の提言に基づく諸施策や各部門のコンプライアンス教育の実施等により、役職員一人ひとりの意識を高め、コンプライアンスの一層の徹底を図っています。
コンプライアンス推進体制図
- *1コンプライアンス委員会の事務局機能を担うとともに、役職員等のコンプライアンス意識の浸透・定着を推進
- *2全ての職位部長をコンプライアンス実施者に任命し、職位部長が自らの担当部署に所属する全ての役職員等に対してコンプライアンスに関する啓発、教育等を実施
内部通報制度
大成建設グループでは、公益通報者保護法に基づき、役職員等による贈収賄等の汚職を含む違法行為や「グループ行動指針」に違反する行為(または違反しようとしている行為)について役職員及び社外の関係者(当社と直接の契約関係がある協力会社〈一次サプライヤー〉等の従業員)が通報・相談できる内部通報制度(企業倫理ヘルプライン・グループヘルプライン・公益通報制度)を整備しています。通報・相談窓口は社内及び社外の外部機関(弁護士事務所)に設置しており、当制度は幅広く違反行為の端緒を掴むために、匿名による通報も受け付けています。また、当制度の実効性を高めるため、全役職員を対象に、当制度の概要をまとめた「ヘルプラインカード」を配布し、eラーニングの実施や「コンプライアンス通信」の配信を通じて、制度の内容や運用実績を紹介する等、積極的な啓発活動を行っています。寄せられた通報に対しては、事実関係を調査し、必要に応じて是正措置を講じます。その際、通報者情報の秘匿を徹底するとともに、通報を理由とした不利益な取り扱いが通報者に対して行われないよう、社内規程に沿って厳格に運用しています。なお、当社と直接契約関係にない社外のステークホルダーの皆様についても、当社Webサイトのお問い合わせ窓口を通じて、人権・環境問題をはじめとする様々な相談を受け付けています。
ヘルプライン制度に基づく内部通報の流れ
指 標 | 単位 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | バウンダリー |
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内部通報制度運用実績数 (法令違反やあらゆる形態の腐敗防止を包括的に含むグループ行動指針の違反行為が対象) |
件 | 24 | 28 | 30 | 73 | 82 | グループ*1 |
- *1対象は当社とグループ会社21社
取り組み
コンプライアンス教育・研修
大成建設では、コンプライアンス意識を高める為、全役職員を対象に毎月コンプライアンス通信を発行するとともに、年に2回eラーニング形式による腐敗防止等を含むコンプライアンス研修を実施しています。2023年度のコンプライアンス研修受講率は100%でした。
また、グループ全体のコンプライアンス強化を目的として、国内グループ会社との法務業務に関わる課題や情報共有・意見交換を目的としたグループ会社のコンプライアンスヒアリングを実施しており、コミュニケーションを図りながらコンプライアンスの徹底に努めています。
更に、協力会社(専門工事業者)の事業主を対象に、コンプライアンス研修を実施し、サプライチェーン全体でのコンプライアンスの徹底を図っています。
今後も関係者の意識向上のため、繰り返し啓発していきます。
教育・研修 | 近年取り上げたテーマ |
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コンプライアンス通信の発行 (月1回) |
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eラーニング研修の実施 (年2回) |
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協力会社(専門工事業者)の事業主を 対象としたコンプライアンス研修 |
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コンプライアンス・アンケートの実施(年1回)
大成建設グループにおけるコンプライアンスに関する現状と課題の把握、さらなるコンプライアンスの推進を図ることを目的として全役職員に対して「コンプライアンス・アンケート」を実施しています。
アンケート結果については、分析及び対策案を検討し、経営層に報告した上で、「コンプライアンス通信」を通じて全役職員に開示するとともに、関係部署と連携して必要な対策を講じることにより、コンプライアンスの推進に向けて取り組んでいます。
教育・研修 | 近年取り上げたテーマ |
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コンプライアンス通信の発行 (月1回) |
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eラーニング研修の実施 (年2回) |
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サプライチェーンへの教育・啓発
大成建設グループの事業活動に関してコンプライアンスを徹底するためには、サプライヤーとの協働が不可欠です。当社では、協力会社(専門工事業者)のコンプライアンス意識の向上を図るために、各支店における安全徹底大会の場において、協力会社の事業主等を対象に、コンプライアンス推進室による研修を実施しています。今後もサプライヤーを対象とした教育・啓発を継続的に実施していきます。
政治寄付
大成建設では、社会貢献の一環として必要に応じて政治寄付を行うことがあります。政治寄付を行う場合は、政治資金規正法の遵守を徹底し、社内規定「政治家との係わり及び経費の支出に関する行動基準」に基づいた手続きを経ることで厳正な審査を実施しています。2023年度の政治寄付額は18百万円でした。
腐敗防止方針
大成建設では、2018年に参画した国連グローバル・コンパクトの原則10「腐敗防止」を支持しています。強要、贈収賄、マネーロンダリング、司法妨害などを含むあらゆる形態の腐敗を防止するために、グループ行動指針において「公正な取引の確保」と「政治及び行政との健全な関係の維持」、「反社会的勢力・団体への対処」を掲げており、発注者や発注者の役職員個人に対して、不正な金品の供与等を行わないこと、政治家・公務員(外国公務員を含む)との関係において、贈賄等刑罰法規に違反する行為や誤解を受ける行為を行わないこと、反社会的勢力・団体からの不当な要求に応じないことを明記しています。また、独占禁止法遵守のための行動規範を定め、役職員に対して入札談合等刑法、独占禁止法等の刑罰法規に違反しないよう責任ある行動を求めて、腐敗防止に努めています。
政治家・公務員(外国公務員を含む)に対する贈賄防止の啓発・教育については、贈収賄や腐敗行為を包括的に取り上げ、談合などの公正競争を阻害する行為を防止するために小冊子「コンプライアンスはやわかり」を作成し、全役職員を対象とした、eラーニング等を通じて徹底を図り、役職員の腐敗防止に対する知識・意識を高めています。
特に注意を要する外国公務員等との関係においては、2020年度より外国公務員等に対する贈賄防止のための事前チェック制度を導入し、腐敗行為防止の徹底に努めています。
更に、外国政府機関等との取引に関してエージェント等(代理店、代理人、コンサルタント、エージェント等)を起用する場合、事前に所定のチェックリストに基づくチェックを実施して管理部門の承認を受けたうえで、エージェント等との間で締結する契約に法令遵守事項を定めることを義務付けています。
また、賄賂や腐敗については、地域社会の住民の人権を侵害する重大な人権課題と認識しており、人権デュー・ディリジェンスの優先対応課題の一つとして、包括的な腐敗の防止・軽減に努めています。特に、海外のリスクが高いと判断される国における事業については、個別案件ごとに、入手前に腐敗も含めたリスクを確認して対応することとしています。
グループ行動指針の遵守レビューと違反時の対応
大成建設グループでは、取締役会委員会として「サステナビリティ委員会」を設置して、グループ行動指針の改廃および社内周知方法の審議ならびに遵守状況の把握を行っています。また、あらゆる形態の腐敗防止を包括的に含むグループ行動指針の違反事案の通報・相談先である企業倫理ヘルプラインの運用状況を取締役会が定期的に確認して腐敗防止、コンプライアンス遵守の監督をしています。
グループ行動指針違反等、重大なコンプライアンス違反が発生した場合には、関係者、事実の経緯、違反の性質・内容、損害額、利害関係人への影響等を調査し、正確な事実関係の把握に努めたうえで、再発防止策の検討・徹底を図り、必要に応じて関係官公庁への報告を実施しています。また、行為者に対しては、「グループ行動指針遵守体制整備に関する規程」に基づき、取締役会または経営会議において事実関係を慎重かつ厳正に審査のうえ、解雇を含む必要な懲戒処分を科しています。
なお、2023年度に、当社における腐敗行為・反競争的行為に基づき法的措置を受け、または罰金・課徴金を支払った事例はありませんでした。また、腐敗及び贈収賄に起因して従業員が解雇された事例はありませんでした。
公平・公正な取引
大成建設では、グループ行動指針に「取引業者とのパートナーシップの推進」を掲げ、取引先(サプライヤー)と公正で信頼し合える関係を築き、対等な立場で取引を行うことを定めています。2020年8月に、サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を超えた新たな連携や、下請中小企業振興法に基づく「振興基準」を遵守することを盛り込んだ「パートナーシップ構築宣言」を作成し公開しました。また、反社会的勢力排除のために、取引先との専門工事請負基本約定書等において、契約先が反社会的勢力ではないことや反社会的勢力と取引しないことを定め、万一、それに違反した場合には無催告で契約を解除できる条項を定めています。さらに、大成建設グループ サステナブル調達ガイドラインに公平・公正な取引、法令・社会規範の遵守、人権の尊重について明記し、取り組み状況に関するサプライヤーのセルフアセスメント等を毎年実施することにより、反社会的勢力、汚職・腐敗、非人道的労働の実施組織との取引に巻き込まれないようリスクの把握と低減に努めています。
法令等遵守検証・指導
大成建設では、入札業務の適正性の確保のために、入札業務の過程に不適切な行為がないことを支店長が確認し、その記録を作成・保存する社内制度を運用しています。
また、毎年法務部が入札業務の適正性及び建設業法や独占禁止法・下請法の遵守状況の確認を行っています。
独占禁止法遵守のための具体的な取り組み
大成建設は、独占禁止法違反の疑いを招くような行為の排除・防止を目的として、「独占禁止法遵守のための行動規範」において、役職員等の行動指針及び社内の遵守体制を定めています。以下の厳格な運用を徹底するとともに、役職員等に対する啓発に努めています。
具体的な取り組み
- 同業他社との接触に関するルール
(会合参加時の届出義務・電子メールの監視) - 入札業務の適正確認手続
- 自主申告(社内リニエンシー)制度の整備
- 独占禁止法遵守マニュアルの策定
- 全役職員を対象としたeラーニングの実施
- 営業部門及び受注関連業務を行う技術部門を対象とした、社外有識者による研修実施
税務コンプライアンス
大成建設は、グループ行動指針において、法令等の遵守とともに、社会的良識をもって行動することによる社会的責任の遂行を掲げています。この行動指針の下、税務に関する指針として、2020年8月に「税務方針」を定め、納税義務の適正な履行に努めています。
また、2013年度以降、税務コンプライアンス意識を向上させることを目的にeラーニングを毎年度実施し、税務調査に関する内容と関連づけながら税務方針の浸透を図っています。全役職員に通常と異なる取引等がある場合、各担当部署に相談することを呼びかけるなど、税務リスクの低減に努めています。
会計監査人(業務執行社員)の定期的なローテーション
公認会計士法に準拠した監査法人の規程に則り、業務執行社員を定期的にローテーションしています。なお、継続関与期間の上限および交代後の関与禁止期間(インターバル)については、以下の通りです。
- 業務執行社員
7会計期間以内、インターバル2会計期間 - 筆頭業務執行社員
5会計期間以内、インターバル5会計期間
「理念体系」の周知徹底
「理念体系」については、集合研修における啓発、携帯用カードの配布、イントラネットへの掲載などで浸透・定着を図っています。また、2011年度以降、理念体系に関するeラーニングを毎年度実施し、社会的要請や社内での取り組みと関連づけながら、一層の浸透・定着を図っています。2023年度は、「グループ理念、大成スピリット、グループ行動指針」について社員にeラーニングを実施し、受講率は95%でした。
情報・知的財産権の管理
建設業は、施工にあたり発注者や協力会社(専門工事業者)等多くのステークホルダーとの情報共有が必然であることから、グループ行動指針に「情報・知的財産権の管理」を掲げ、情報セキュリティに関する様々な施策を実施しています。当社では、「個人情報の保護に関する方針」や「ソーシャルメディアの利用に関する行動基準」を制定するほか、当社グループの「知的財産に関する方針」を制定し、知的財産の創造・保護・活用、知的財産に関するリスク軽減、ブランドの戦略的活用などの知的財産戦略を着実に実践しています。