一人ひとりがいきいきと活躍できる職場環境の実現
方針・基本的な考え方
人財は大成建設グループにとって最大の資本であり、社員の活力は企業価値を向上させるエンジンです。マテリアリティの一つに、「一人ひとりがいきいきと活躍できる社会・職場環境の実現」を掲げており、多様な能力を有する人財を採用するとともに、多様性を尊重し、役職員一人ひとりが高いエンゲージメントを維持して活躍できるように社内環境を整備することでイノベーションを生み出し、価値創造に繋げていくことを目指しています。
また、【TAISEI VISION2030】達成計画において、人財が競争力の源泉であることを認識し、必要な施策をスピーディーに実行することを基本方針としています。
リスクと機会
リスク |
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ポリシー/コミットメント
- グループ行動指針:風通しの良い企業風土の形成、基本的人権・多様性の尊重
- 人材活用方針(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン方針)
- 人権方針
- 【TAISEI VISION 2030】達成計画 経営の基本方針 人的資本
目標
【TAISEI VISION 2030】達成のための取り組み
経営戦略に連動して人的資本を整備·構築し、【TAISEI VISION 2030】を達成する
- 社員のエンゲージメント向上のために、能力を最大限に発揮できる環境を整備
- 当社グループの持続的成長を支えるための人的資本投資を拡充
- 身体的、精神的、社会的な健康と幸福感(ウェルビーイング)、多様なキャリアパスの実現
KPI
- エンゲージメントスコア
2026年度BBB55、2030年度A60 - 新卒女性採用比率
2026年度27%、2030年度30% - 4週8閉所実施率
2026年度建築・土木100%、2030年度建築・土木グループ100%
年度目標
- 有給休暇取得率
毎年度60% - 節目休暇取得率*1
毎年度100% - リフレッシュ休暇取得率*2
毎年度100%
- *1節目休暇:工事作業所で働く社員を対象とした休暇
- *2勤続満10年・20年・25年・満55歳到来時等、一定の勤続年数、または年齢に達した時に休暇を取る制度
イニシアチブ
- 国連グローバル・コンパクト「人権」「労働」
- The Valuable 500(国際イニシアチブ)
- Myじんけん宣言(法務省)
- 「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(内閣府男女共同参画局)
- 女性活躍推進法に基づく行動計画(内閣府)
- 女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画((一社)日本経済団体連合会)
- イクボス企業同盟(NPO法人ファザーリング・ジャパン)
- 人的資本経営コンソーシアム
- 時間外労働削減ガイドライン((一社)日本建設業連合会)
- 週休二日実現行動計画((一社)日本建設連合会)
- 「心のバリアフリー」サポート企業登録(東京都)
- 経団連「2030年30%へのチャレンジ」(経団連)
体制・システム
推進体制
所管役員 | 管理本部長 |
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審議機関 | 人事委員会(業務委員会) 人財に関わる重要事項は、人事委員会での審議を経て経営会議にて事前審議を行い、取締役会に付議されています。 |
推進部署 | 管理本部人事部 |
取り組み
エンゲージメント向上に向けて
2022年度より当社及び主要グループ会社において、エンゲージメントサーベイを実施しています。
2024年度までに実施した5回のサーベイ結果より、全社的な課題として、経営層と社員の間においてエンゲージメントの状態に差が生じていることが認められました。このため、相互の意思疎通を図ることを目的とした意見交換会を数多く実施し、経営方針の伝達や現場課題の共有を図るとともに、社員から寄せられた意見を会社施策に活かす取り組みを行っています。また、組織ごとにエンゲージメントの状態が大きく異なるため、各組織でサーベイ結果を読み解き、改善に向けた施策の立案と実行を行っています。これらの取り組みにより、2022年6月に実施した第1回サーベイ(B50.0)より、「事業の成長性や将来性」「制度・待遇面」の他、上司のマネジメントを示す各項目等の満足度が上昇し、社員のエンゲージメントが向上しました(2024年12月BBB55.0)。
今後も、事業環境等に大きく左右されることのない、「働きがい」「働きやすさ」を兼ね備えたエンゲージメントの高い組織の構築を目指します。
エンゲージメント向上に向けた取り組み
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長時間労働是正に向けた取り組み
大成建設グループは、人権方針において、現地の法令を遵守し、全役職員及び取引先の労働安全衛生に配慮し、長時間労働の改善することを定めています。また、従業員の健康維持・増進に配慮し、過重労働を抑制し、時間外労働の低減に努めるとともに、社内の協議機関として労働時間短縮委員会及び時短推進協議会を設置し、労働の時間削減に向けた施策を協議しています。
また、「残業状況見える化システム」にて、月間・年間の残業時間の状況や法令に定める上限規制(36協定時間)までの残り時間等を把握することで、法遵守や健康管理を目的に、時間管理に活用しています。
誰もが働きやすい快適な職場環境の確保
ものづくりの最前線である建設工事作業所において、従業員や作業員等多様な人々が働きやすく快適に能力を発揮できる環境を整えることは、労働環境への配慮という人権尊重の側面に留まらず、生産性やワークエンゲージメント、ひいてはそれぞれのウェルビーイングの向上という観点からも大変重要です。
当社では、女性の技術者・作業員への配慮はもとより、全ての従業員・作業員が一体となってものづくりに取り組むことができる環境確保を目的として、「ウエルネス作業所」の普及に取り組んでいます。具体的には、設計本部で考案した100項目に及ぶ「ウエルネスレシピ」の中から、作業所ごとに最適な項目を採用して、作業所のウエルネス化を進めています。
ワークライフバランス
大成建設では、「社員が安心して結婚・出産・子育てできる会社を目指す」という社長方針のもと、育児休業制度、育児短時間勤務等の様々な制度を整備しています。休職と復職を支援する育児サポートプログラムや両立支援セミナー等、両立を支援するための情報提供を行っています。
2016年度から男性の子育て支援にも注力しており、男性の育児休業取得率を100%にすることを、働き方改革の重点施策と位置づけ、所属部門や上司も巻き込み、全社的に取り組んでいます。2017年4月に、新しい時代の理想の上司(イクボス)を育てていこうとする企業のネットワーク、「イクボス企業同盟」に加盟したほか、「イクメン企業アワード2016」の受賞や次世代育成支援対策促進法に基づく認定も受けています。子供が生まれた男性社員とその直属上司に育休取得を促す「お祝いメール」の配信、外部講師及び育児休暇取得経験者が登壇する「父親セミナー」の開催や制度拡充等の施策により、対象となる男性社員の育休取得率は2017年度以降連続して100%、2023年度の平均取得日数は17.3日(2022年度11.6日)となりました。
仕事と介護の両立支援のため、介護休暇・介護休業等については、法定事項を上回る内容で制度を設けているほか、当社オリジナルの「介護のしおり」の配付、無料で専門家に相談できる個別相談会の定期的な開催等、介護に関する社員の不安を減らすための取り組みを進めています。また、長期休暇時に家族と一緒に参加できる「Web配信型介護セミナー」や基幹協力会社を対象に含めた介護離職防止セミナーの実施等、きめ細かなフォロー体制を整えています。
人財の獲得と定着
大成建設グループでは、持続的な成長に向けて優秀な人財の獲得と定着を図るため、給与や労働時間等の労働基準について各国の法令遵守を徹底するとともに、各国の最低賃金についても法令以上の条件で設定することに努めています。
また、2024年度は428名(2023年度316名)の新卒社員を採用しました。採用選考の過程においては業務内容を詳細に説明し、ミスマッチの解消にも努めており、入社後は若年社員の面談等を実施し、一部ではメンター制度を試行的に導入しています。従業員一人ひとりが、長期にわたって高いモチベーションを維持し、能力を発揮していけるよう、社内公募制度等従業員の就業継続をサポートする各種制度の充実を図っています。
労使関係
大成建設は、結社の自由、団結権、団体交渉の原則を尊重し、従業員の代表が会社と対話できる労使交渉の仕組みを設けています。毎年定期的に、社員組合と会社役員等が協議を実施し、賃金、労働条件等に関する諸施策等をテーマに、大成建設社員組合である当社の代表従業員が、十分な協議を重ねることで、健全な労使関係を構築しています。
また、当社は、社員組合とユニオンショップ協定を結んでおり、団体交渉協定の対象となる全従業員の割合は、89.6%(単体)、組合員の資格のある者の加入率100%(単体)となっています。労使関係や会社の事業活動の円滑化を目的に、毎年労使間でアンケート調査や様々な対話を実施しています。その他国内、世界各国で定める基本労働条件を遵守しており、労働条件の変更等は労使で協議する事項としてあらかじめ労使間で取り決めています。
当社では、人的資本の充実は当社グループの未来への投資であると認識しており、2022年度及び2023年度に社員組合と協議し、全従業員のベースアップや新卒初任給の引き上げ等による賃上げを実施しました。今後も2023年3月に制定した「マルチステークホルダー方針」に基づき、従業員への持続的還元を目指すとともに、多様性・公平性・包括性を重視し、従業員の「働きやすさ」と「働きがい」を高める総合的な処遇改善に努めていきます。
国内、世界各国で定める基本的労働条件の遵守
- 児童労働防止:大成建設の採用対象は18才以上
採用時に年齢確認を徹底 - 強制労働防止:応募者からのエントリーを前提。採用選考を経て合格書を通知
また入社時に労働条件を提示し合意のもと雇用 - 生活賃金支援:新卒採用者(大学卒・総合職)の初任給は地域別最低賃金全国加重平均額を上回る水準
*2024年度は約171%相当(東京都の最低賃金との比較では約155%)